◆4 校長室から

  • 2018年02月13日(火)

    全校朝礼講話

    金曜日は,30km遠行ご苦労様だった。先程表彰した皆さんだけでなく,それぞれが自己の努力に対してそれぞれで表彰をしてもらったらとも思う。路上での姿や給水場,そしてゴールなど,皆さんの姿を見ていると,それぞれ頑張ってくれていたのではと思うが,自分の取り組みに対してどう評価するかは,自分自身だと思うので,賞賛か叱咤激励か,それぞれ内面で行ったらいい。
    日常では考えられない距離を走った後に残る感情で,よく連想する言葉が一つある。それは,JSミルの言う「満足した豚よりも不満足なソクラテス」というものだ。功利主義者である考え方で,社会全体の幸福は,社会全体で快楽の大きいことこそ善であるとする考え方を発展させたもので,求めるべき快楽には質的な差違があるということを象徴的に顕したことばだ。換言すると,豚に30km走らせても,疲労感しかないが,考える人間であれば,疲れたけど達成感を得られたといったものになるのではないかということだ。ミルは19世紀イギリスの思想家で女性の地位向上を図るなど社会全体の幸福増進の考え方の中で,このような思想を展開させているが,諸君の普段の生活でも,同様に考えられる場面があるのではないかと思う。様々な選択肢の中で,楽をとりがちな部分がある。逆に,これが役に立つのではと思い取り組んだが徒労に終わってしまうという例もある。しかし,本質の部分,ミルの言葉を借りれば,質的に高いものを求めていけば,そこで得られる喜びの大きさもより大きくなるということではないだろうか。以前,「楽」と「楽しさ」は大きく異なると話したことがあるが,「楽しさ」には,きつさ故にそれがより増すという部分もあると思う。もちろん,根底には,利己の,すなわち自分だけの幸福であってはならない。校訓の精神を忘れてはならないとも思う。それぞれが,体験したことを次に活かすのがなにより重要でもある。
    さて,1,2年生だけで初めての全体朝礼になる。高校入試では,先週行われた推薦入試,現在出願受付中の一般入試も含めて,新入生の動きがいよいよ佳境に入る。この時間,前期日程に向けて,教室で学習している三年生も多い。二週間後に迫った前期試験で,力を発揮してくれるものと期待しているが,皆さんも改めてそれぞれ次年度のゼロ学期としての認識を持って,それぞれの取り組みに勤しんでほしい。
    遠行の時とは異なる寒い朝だが,春もすぐそこに来ている証拠でもある。皆さんの今後の健闘を期待する。

  • 2018年01月22日(月)

    全校朝礼講話「結いの精神・伝統の誇り」

    おはようございます。三年生のセンター試験も終わり,先週末の進路判定会を経て,二次試験,私大入試の具体的な日程が固まる時期になった。特別授業も始まり,全学年揃っての朝礼も残りわずかとなっているが,今朝は,そのことも踏まえて,少し話をしたいと思う。
      一二年生は,先週地区の高校文化祭があり,全員参加してもらった。各校の文化系の部活動生が中心となって運営されていたが,感動させられるものが多かった。本校の放送部や吹奏楽部の発表はもちろん,クライマックスの全員合唱など,参加した皆が,常々求めている自分なりの感じ方をしてくれた機会だっただろうと思った。
    個人的には,大島北高の吹奏楽部と沖永良部高のエイサー部の発表で感じることがあった。前者は,ドラムを披露した生徒にとって,観客の大歓声に後押しされての素晴らしい演奏はきっと一生心に残るのではということが,後者は,伝統芸能を受け継ぐ人数が決して少なくない,しかもアトランタオリンピックでも披露された伝統は,きちんと受け継がれているということである。
    全校生徒揃っての残り少ない場で,あえて言いたいことの二つが,ここには含まれていると思う。前者の場合,校訓の精神でもあり,奄美の誇るべき結いの精神である。簡単に言えば,君たちのノリの良い応援が後押しして,素晴らしい演技が出来たのではと思えたということだ。様々な場面でも見かけるが,仲間のことが大好きで,いざというときには集中して取り組める,この良さを十分発揮できる日頃の在り方を再度考えてほしいと思う。逆説的な言い方では,特別な日のハレは頑張るが,普段のケは何もしないということにならないことをお願いする。
    後者の場合,「伝統」の力である。メジャーな部活動でないものに多くの生徒が関わり,高いレベルの力を発揮し続けることには,間違いなく伝統の力があると思う。周囲からの目も含めて,様々な発表の場も併せて発揮し続けるのだろうが,「伝統」の力とは,簡単に言えば「誇り」である。プライドでも矜持でもいい。君たちには創る伝統,攻める伝統と口にしてきたが,見られることを意識して,「あー,大高生やっぱり違うや」と言われる行動が出来るかということだと思う。決して安住しない意識で,いい意味で大高生の誇りを胸に,主体性を持った行動を期待したい。
    各学年とも,それぞれの立ち位置で取り組むべきことは異なると思うが,現時点だけで無く,今後も意識してほしい「結いの精神」「誇り」ということについて再度お願いして,それぞれの今後の取り組みをより充実してほしいと思う。

  • 2018年01月09日(火)

    三学期始業式式辞

    あけましておめでとうございます。

      天気にも恵まれた正月もあけ,皆さんはどう迎えただろうか。毎年のように繰り返される行事も,自分の立ち位置によって感じ方は異なると思う。よく例えとして,一年前の自分,一年後の自分が引用されるが,気持ちを新たに,それぞれの取り組みに勤しんでほしい。冬休みに入ってすぐ,生徒会執行部の諸君と一緒に奄美復帰記念式に参加したが,その中で,名瀬中2年生が象徴的な発表をしていた。新聞にも紹介されていたが,それは「64年前,復帰運動に携わり,復帰を喜んだ先人たちに,今の奄美の姿はどう映るだろう」といった内容であった。新年の報道の中でも,今年は,世界自然遺産登録があり,大河ドラマも相まって,より奄美が脚光を浴びる年であるとされているが,奄美に住む一人一人の意識として,奄美の発展にどう寄与していくのか,どう生活していくのかを投げかけた感想は,我々を含めて,再度それぞれが感じてほしいことだと思う。
      もっと言えば,時間の区切りを意識させられる時期だからこそ,時間を超えて見る自分,見られる自分,見られるに値する自分作りに取り組んでもらいたいと思う。終業式でも話した,いろいろな人に出会って,その幅を広げてもらえればと思う。
    同じような感想を,今年の奄美市の成人式でも感じた。それは,会の前に流された映像と歌詞の中であり,次のような歌詞だ。
    ぼくらは未来に何が残せるだろう。何を残せば生きた証なのかな。僕らのつむぎだす情熱が,誰かの明日を変えるかもしれないから 感じるままに まっすぐにありのまま解き放つこの心 あふれる思い詰め込んで 未来までつなげよう 僕らのタイムカプセル
      いうまでもなく,一昨年の国民文化祭のテーマ曲で何度も耳にしたカサリンチュの歌詞だが,同じような思いが歌われていた。今の取り組みを検証しながら前を見て,未来へつなげる,自分の事だけでは無く,誰かのためになるものとして,そういった生活の仕方を再度心がけてほしい。
    とはいえ,三学期は,あっというまに駆け抜けていく。三年生は,このあと,センター試験への激励会も控えているが,いよいよ今週末から決戦が始まる。悔いの無いよう,それぞれが取り組んでもらえたらと思う。一二年生も含めて,今学期は,校内外の試験が目白押しである。過去との対比の部分では,高校入試も控えており,早いところでは今週末から県の新人大会が始まる。また,来週には,地区の高文祭も行われ,1,2年生全員が鑑賞する予定でもある。常々話している,自分に刺激を与える機会は,直接的であれ間接的であれ,多く転がっていると思うので,今学期も更に自分を高める機会を多く設けてほしいと思う。
    特に,年度当初に求めた事の中で,「不屈」ということに着目したい。文字通り受け取れば,非常に強いイメージを持つ語だが,敢えてその逆の面を強調したい。一年生には,冬の講座でも話したが,不屈に必要な柔らかさ・広さということだ。競技者として伸びる要素として多くの指導者が共通して上げるものに素直さがある。これは,芯をしっかり持っていることとは別に,助言に素直に耳を貸す姿勢のことだ。自分が現実に直面している壁に対して,現状の不満を嘆くことよりも,視野を広く持ち,様々な取り組みを受け入れることだと思う。先程の話ではないが,時間軸だけで無く,主観の部分も意識すればより広げることができる。その結果として,頑なな考え方が,和らぎ,大きく成長することは良く耳にするケースである。「不屈」とはそういった柔らかさに裏打ちされたものであってほしいと思う。八方美人は良くないかもしれないが,多くの意見を取り入れ,自分の成長に繋げていくことは必要な事である。そうして,いつも求めているが,それをきちんと実行していくことだと思う。

    生徒諸君が,今年も自分の道を力強く歩いて行くことを願い,年頭のあいさつとする。

  • 2017年12月22日(金)

    二学期終業式 式辞

    おはようございます。

    大掃除ご苦労様。今年も一年間の埃をきれいに洗い流せただろうか。日本人の美徳とする「清き明き心」を再認識する機会として,それぞれがいろんな意味の埃を払って次のステージへ進めたらと思う。
    終業式ということで,2学期をふりかえる話が出来ればと思うが,校門横のフォトニュースの表現では,「大高スピリッツ~伝統刻んだ二学期」となっている。体育祭で始まり,部活動の地区大会,NPS,京都賞講演会,弁論大会,武道・ダンス大会,公開授業等多くの行事もあった。それぞれの刻みの中で,新たな心象を振り返ってほしい。二学期当初に,それぞれが為すべきことを考え,粘り強くそれに取り組んで貰いたい,様々な機会を捉えて,主体性を磨き,視野を広げてほしい,能動的な学びを勧めると話したが,どんな学期だったか。それぞれ「自律」「不屈」「抱負」の営みは出来ていただろうか。校門横の写真や,先程の表彰など,今学期も,それぞれの場面で活躍してくれた諸君が多かった実り多き学期だったと思う。

    個人的に印象に残っていることとして,素敵な挨拶の出来る生徒が増えたということがある。部活動単位でなされているなと気付くのだが,立ち止まり,深々とした礼をしてくれると,温かい気分に包まれる。先日,娘さんが福山型先天性筋ジストロフィーという難病で,12歳前後までしか余命が無いと診断された母親のエッセーを読んだ。その中で,自分勝手に,まだ起こりもしない未来のことに気を病んでいる自分のことを,娘の笑顔が救ってくれたというものがあった。ネガティブからポジティブへの転換で,自分も周りも変わっていく姿は,心動かされるものだった。その母親が,娘と向き合いながら大切にしたい言葉として,「when you smile the world will smile back at you」というものがあると述べている。笑顔で向き合うことが,自分だけでなく周りも幸せにするという考え方は,互いに素敵な挨拶ができあう関係にも通ずるものだと思う。
    一方で,苦言を呈したい状況もある。笑顔でごまかすことは,別だということ。困難に際して,前向きな気持ちでの笑顔は良いが,なすべきことに向き合うことを避けるための笑顔は良くないということ。今年求めていることで言い換えれば,自己の抱負をきちんと認識した上で,不屈の姿勢で,自律した営みを行っているかということだ。775人いれば,775通りの抱負があり,取り組みも異なることは理解しているが,成果をあげられた人は,笑顔の裏の厳しさにきちんと向き合えた人だと思うし,だからこそ意味のある笑顔でいられると思う。体育祭での,百足競走や応援団演舞の後の涙も良いが,目標を達成した仲間での笑顔もまた良い。笑い合える新年が来ることを祈っている。

    年末年始は,慌ただしく過ぎていくが,3年生にとっては センター試験まで21日となった。例年のことだが,世相を超越して,直前まで努力を継続し,笑い合える結果を残すために,直前の時間を送ってほしい。1,2年生には,年末年始の外からの刺激を成長の糧にしてほしい。多くの帰省する人との出会いで,自分の道を見つめ直してほしい。世間こぞって新たな始まりを祝う 1月という年明けに新鮮な気持ちで臨めるのだから,そんな意味でも反省をし,新たな決意を胸にすべきだと考える。

    一つ,お知らせをしておく。この冬休みから,全教室のクーラーの更新を行う。平成15年に設置してから初めての更新になるが,この事業にも,安陵会からご支援いただくことを知っておいてほしい。「伝統」を物心両面から支えてもらえっている安陵会員に,君たちもなることも心に銘記しておいてほしい。
    繰り返し述べるが,大切なのは,行動に移すということだ。知行合一だ。可能性を秘めている今だからこそ,意識を創り,それを具現化する行動様式を身につけてほしい。
      皆さんが,行動する人(アンガージュマン)となれるよう話した。新しい年に,それぞれが飛躍することを期待し,終業式の挨拶とする。

  • 2017年12月11日(月)

    全校朝礼講話(校訓について)

    二学期も残すところ二週間となった。世間でも師走の慌ただしさ,年末年始に向けての軽佻浮薄な雰囲気があるが,それぞれ締めくくりの意識をしっかりもって過ごしてほしい。
      さて,○年○組の委員長に聞く。校門入ってすぐの建物を何というか。
    そう,和親館という。今朝は,デジャブな話になるが,校訓のことを話したい。何故話すのか。君たちも知っている通り,学校生活の自己評価をしてもらっている。その中で君たちの評価が低かったものの一つが「校訓を知っていてそれに向かって努力する」だった。意外な結果だったので,少しまつわる話をしたい。校訓の「和親・協同・自治・奉仕」は,非常にユニークだ。県内の高校の校訓を調べたことが以前あるが,自主とか自律(二種類ある)友愛などといった表現が多かった気がする。この校訓を定めた人も和親館前にある銅像の一人龍野定一先生である。先生は大正13年に若干36歳の若さで本校校長に着任され,6年半の間校長を務めている。この人の前職は隣保館といい,社会更正施設であることから推測できる通り,その当時の大島中学校は,混乱して廃校の危機にある状況であった。資料を見ると,生徒のストライキや,傷害事件,などひどい状況であった。それを立て直したのが,この龍野校長である。
    大正13年9月の講話から (校長在職は 大正13年8月~昭和6年2月)
    まず「和親」諸子に望むところのものは常に仲よくせよということである。和親の二字を忘れないことである。全校の生徒が一体となって仲よく暮らしてくれることが第一である。 次に「協同」 ともに力を合わせて,助け合って仕事をすること。皆の者が相和し親しくなると人は必ず協力するに至るものである。兄弟でも友人でも仲のよい者の助力加勢は頼まれなくてもせずには居られぬものである。
    そして,「自治」つまり,自分で自分のことを処置する。人よく相和し相親しんで真の協同の精神に生きると,必ず自治の生活に入るものである。常に助け合った兄弟や友人は,必ず出来るだけ自ら事を処して他の助力をまたないものである。和親は協同を生み,協同は自治を生む。そして,最後に「奉仕」自分のことが自分でできるようになれば,その生活に自らにして幾多の余力余裕が生まれてくる。この余力余裕を誰の為というでもなく,また頼まれてするというのでもなく,自然と皆の為に図り公共の為に尽くす心がわいてくる。それが奉仕である。
    人よく和親ならば自ら協同,よく協同して得て初めて自治,自治にしてよく奉仕に至ることが出来るものである。
    我が校訓は 一人の青年として「自主・自立」の心構えとその過程を表したものだと考えられる。人間としての成長を,分かり易く説いたものだ。
    学校生活の中で,まず 「仲良くしているか」そして,「助け合って仕事をしているか」「自分のことは,自分でできるようになっているか」「他の人のために,社会のために働こうとする意思が出てきているか」そんなことを考えて,高校生活を送っていれば,校訓に向かって生活していることになる。
    終業式の日のLHRで二回目の自己評価をしてもらうが,外にも見直すべき点は多くあると思う。校訓の精神も踏まえながら,再度自分たちの生活を振り返り,次に繋いでくれることを期待する。

  • 2017年11月06日(月)

    全校朝礼講話(多様性の優位性)

    11月の訪れで,さすがに奄美でもすっかり秋めいている。
      ○○の秋という表現が多くある通り,いろんなことをするのに適した季節になっていると思う。今朝は,この後,九州大会に出場する空手部の壮行会を行うが,部活動に励む皆さんの代表としても精一杯力を発揮してもらえたらと思う。全国大会への切符も期待しながら,実りの秋の収穫を応援したいと思う。
    空手部に限らず,様々な場面での大高生の活動を思うときに,共通して感じることがある。それは,「生物多様性の優位性」ということだ。先週末の弁論大会でも,多くの異なる意見が発表された。仲間を大切にしたい思い,悔い無き人生への取り組み,自分の夢への決意など,それぞれに自分の経験や思いを踏まえての立派な発表だったと思うが,異なる様々な意見・活動を目にすることが,より人としての幅を広げさせることにつながることは言うまでもない。必要な事は,それをどう理解して,自分の中に取り入れ,実践していくかということである。今の時期の大高の夕べを受験体験記で紹介したことがある。様々な部活動の喧噪や,静寂の空間での黙学,個別指導での面接・小論への取り組みなど,様々な熱心な取り組みが見られる。目的は多様である。参加している各人も多様である。だからこそ,単一的な取り組みだけでは無いプラスαがあるのではないかと紹介した。「多様だからの優位性」とはまさにそういうことだと思う。
    異なる立場に目を向け,理解することが,様々な問題への対応にもつながる。先の弁論でもあった仲間,感謝,平和,健康などいずれにもつながることだと思う。同時に,多様性の優位性を発揮させる上で大切でかつ君たちにはここまでの生育である程度身についている「社会的動物性」も忘れないでほしい。「結」の心である。理解し協同して自らの生活を律し,世のために尽くしていく,まさに校訓の精神にもつながることである。互いにプラスになる刺激を与え,より高次の目標を目指していってほしいし,そして最も大切なのはそれが行動にきちんとつながることである。知行合一の実践で,更に人間磨きに励んでほしい。多くの諸君の実りの秋を期待する。

  • 2017年10月23日(月)

    全校朝礼講話(主体的,能動的な意識)

    おはようございます。全校朝礼の度に表彰が出来る有り難さがあるが,県大会での優勝や,九州大会での入賞など,高いレベルで成果を上げた皆さんの栄誉を讃えたい。また,心配した台風も,大きな影響はなくほっとしているが,早朝から自主的に落ち葉などの掃除をしてくれている部活動の皆さんの姿を見かけて,進路指導部が常に口にしている「時を守り,場を清め,礼を正す」の実践に感謝したい。
      世間的には,今朝は選挙の話題でもちきりだが,これに関連して一つだけ紹介しておきたい。それは,今回の選挙ではなく,昨年初めて18歳選挙権下でのことで,最近,奄美市選挙管理委員会の方から聞いた話である。その方がある投票所で,本校の制服を着た女生徒が,お祖母さん・お母さんと投票に来て,三世代一緒に投票に来れることは今後無いのだからと,記念写真を撮っている姿に感動したという話である。君たちのほとんどは,卒業後一旦は島を離れる,だからこそ,権利の行使を家族で行えたというのを大切に感じての姿に感心したというのである。実際に,選挙権の行使には注意すべき点もあるが,主権者として参加する意識は忘れてはならないと思う。無関心層の増加を案じて,棄権者の選挙権を剥奪し,気がついたら自分たちの意向は全く反映されない社会になっていたというような現代の寓話もあるようだが,主体的な意識で,物事を考え行動するということは,選挙に限らず,今後も意識し続けてほしいと思う。
     もう一つ,今週1,2年生に予定されているNPSの講座について。STや大高未来塾と共に,君たちの進路学習の上で重要な機会だと思う。今年も,九州大学など18の大学から20人の先生方に来て講座を開いていただく。実際に合格した先輩達の体験談の中にもこれらで受けた刺激を活かしてというものがいくつか見られる。希望者数の偏りが少し気になるが,同じように与えられた機会をどう有効に活かせるかは,皆さん次第であると思うので,目先の興味関心からもう一段ステップアップする機会にしてほしいと思う。

     二学期も半ばが過ぎ,年度も半分以上過ぎる時期になるが,それぞれの「抱負」を再度認識してほしい。そして,行事に限らず,学校生活全般に対して,受け身でない,能動的な関わりを期待したい。そうすることで,それぞれの後半の大高生活の更なる充実を願っている。

  • 2017年10月02日(月)

    全校朝礼講話

    おはようございます。先程の各部への表彰で,8つの部が優勝旗を持ってきてくれた。また,北村さんは県1位という素晴らしい成績も修めてくれた。健闘したそれぞれの部の栄誉をたたえると共に,悔しい思いをした部も含めて,更にステップアップした県大会等での活躍を期待したい。
    今日は,主に三年生に向けての話になるが,一二年生も必ず通る二つのことについて話したい。一つは,今週木曜日予定されているセンター前百日集会に関連して。当日参加できないが,三年生諸君は,いよいよだという気持ちであろう。オプティミズム(楽観主義)とペシミズム(悲観主義)の例えではないが,100日もあると考えるか,100日しかないと考えるか,取り組み方も違ってこよう。共通して言えるのは,地に足を付けた諦めない取り組みを続けてほしいということである。必死に取り組み続けて,成果が出始めるのは3ヶ月はかかるとよく言われる。既に成果が出始めている諸君はいいが,そうではないという諸君もぎりぎり間に合う時期である。いずれにせよ,自分の「抱負」をしっかり見つめ直し志を磨き上げる取り組みを続けていってほしいと思う。先程の部活動にも言える話だが,「学問に王道なし」と言われる所以を感じながら頑張ってほしいと思う。
      もう一つ。時間がないので,簡単に述べるが,遠くて近い政治の話。世間では衆議院の解散総選挙が盛んに報道され,具体的な候補も含めて,マスコミを賑わしている。三年生には,以前18歳選挙権の話をしたことがあるが,実際に18歳になり有権者となった諸君は当事者となったわけで,再度,主権者としての自覚ある行動をお願いしたい。以前話したことと重なるが,国民の権利の行使時期が早められたことは,社会と自分との関わりを考えられる好機だととらえ,主体的に考え行動してほしい。と同時に,法の対象者になることから生じる義務もしっかり理解して,間違っても違法行為等で後悔することのないように注意してほしい。三年生には,配布した資料集「私たちが拓く日本の未来」を時間を見て目を通し,参考にしておいてほしい。一二年生には,今後学習する機会を設ける予定だが,当然自分たちにもやってくるものとして考えてもらいたい。
    いずれも,必ずやってくる二つのことについて話した。いつも言っているが,いずれも各人の,主体的な知行合一を期待する。

  • 2017年08月28日(月)

    二学期開始式式辞

    おはようございます。

      長期の夏休みが終了し,本日から第2学期がスタートする。先週から課外も始まっており,体育祭直前の週で慌ただしい中での開始だが,気持ちを新たに,節目の日として意識してほしい。

    一学期終業式でも話したが,夏休み中も様々な活動の場があり,日頃とは異なる体験を重ねられた諸君もいただろう。また,台風の際に,久しぶりに自然の驚異を感じた諸君もいただろう。幸い大きな被害はなかったようだが,部活動で登校していた生徒に協力してもらい後片付けに取り組んでもらった。改めて感謝したい。夏の活動の中で,この後表彰もするが,一年生の積君が,県ビブリオバトル大会で優勝し,1月の全国大会出場を決めた。二年連続して本校代表が準優勝していただけに,価値ある優勝だったと思う。大会の直前まで練習に当たっており,努力は実ることを実証してくれたと思う。外にも,様々な成果や,経験があったのだろうが,新学期を迎えるにあたり,この夏のニュースの中で個人的に印象に残ったことを一つ紹介したい。

      それは,白人至上主義者とその批判者の衝突に対するトランプ大統領の姿勢に批判がある一方で,オバマ前大統領のツィッター投稿に史上最多の「いいね」がついたというニュースだ。中身は,南アフリカの故マンデラ大統領の自伝を引用して「肌の色や出自,信仰を理由に生まれながらに他人を憎む人はいない」としたもので,「人は憎むことを学ぶ。憎むことを学べるなら愛することも教われる」と続けている。これは,我々の考え方に大きな示唆を与える言葉だと思う。人権や差別ということだけではなく,我々の思考パターンは学ぶことから形成されるということは改めて言うまでもない。君たちの中で,自分の現在の考え方というのは,自分の個性から自然発生すると考える者がいたら大きな間違いである。言葉にしても,行動様式にしても,生まれたときからの集積で現在の君たちがあるということ。もっと言えば,将来像も,自分の周囲から学んで創られてきているということで,周囲がどこまで広がっているかの個人差も大きいということである。白人至上主義の周囲の中で,その枠を超えて見ることをしないと,憎しみの再生産を繰り返すだけだということを,直接的にはオバマ前大統領は言いたかったのかも知れない。ただ私には,広く学ぶことの重要性を強く感じさせられたニュースだった。

    学ぶことの先には生き方がある。生き方について,哲学者森信三の表現に次のようなものがある。「人は生まれ落ちた瞬間に全員が天から封書をもらって来ている。その封書を開けたら,あなたはこういう生き方をしなさいと書いてあるそうだ。しかし,残念なことに,多くの人がせっかく天からもらった,それぞれの封書に気づかず,一回も開けないまま人生を過ごしている」
    皆さんの生き方はどうあるべきなのか,封書の存在を意識してみようとするか,よく考えてほしい。今年度取り組むべきこととして上げた,「自律」「不屈」「抱負」についてもそのことと結びつけて,あるべき姿を考えてほしいと思う。

    さて,新しくスタートする2学期は,一週間後の体育祭で始まる。「日本一の体育祭」と評する人もいる。必死で取り組んでいる姿を見るからこそ,そのような評価をしてくれるのだろうが,当日の,大高生らしい溌剌とした演技や競技を期待する。同時に,2学期は,すべての学期のなかで最も長い時間がある。ものごとを完成させていくに最適な学期だ。それぞれが為すべきことを考え,粘り強くそれに取り組んで貰いたい。1・2年生には,様々な機会を捉えて,主体性を磨き,視野を広げてほしい。そのためにも,様々な学び,能動的な学びを勧める。
      3年生は,この夏は,今までの夏とは違うとの認識で過ごした自分がここにいるはずと思う。受験生として今まで以上の努力をし,この学期に受験を迎える諸君もいるだろうし,まだまだこれからと考える諸君もいるだろう。悔いのない結果を残すために,大いに奮励して欲しいと思う。
    この2学期の諸君の勉学・部活動等への健闘を大いに期待する。

  • 2017年07月20日(木)

    一学期終業式 式辞

    一学期の最終日ということで,大掃除で爽やかな汗をかき,先日のクラスマッチや新生徒会の役員認証,更にジェイコブ先生とのお別れと,節目の一日が慌ただしく過ぎている。この後,各クラスでも今学期のまとめをすると思うが,それぞれが個人としてもしっかり総括してほしいと思う。学校全体として「創る伝統・大高生になる営み」の1/3が過ぎる。上手くいっているのか,課題が残るのかは,二学期更には学年末を待たなければ評価は出来ないと思うが,途中経過としては,順調にスタートしていると思っている。登校状態がこれまでと比べ,良くなって,7時30分ぎりぎりの登校がほとんどいない状況やいつ通っても埃が落ちていない階段など清掃が良くなされている状況もある。部活動でも,様々な部が活躍してくれ,力をもらえたとも思う。
    一方で,年度当初に掲げた「自律」「不屈」「抱負」という点について,それぞれで,確認してほしい。実は,順番を変えて言えば,芯になるべきは「抱負」であり,その部分が不安定である限りは,1学期の反省も出来ない。具体で無くとも,具体を求めて,自分を高める取り組みがなされていれば,抱負を持った活動だといえる。ただ,よりモチベーションを高めるには,具体があった方が望ましい。「抱負」を具体化する一助になるこの夏のイベントを紹介する。二年前から本校で行われているが,「オックスフォード×奄美」がそれである。本校生とオックスフォード大の日本語専攻の院生とが意見交換を行うもので,特筆すべきは,オックスフォードの方々の国籍。実に多岐に富んでおり,二年前参観したときには,英国以外に南アフリカやポーランド,リトアニアの若者がいた。今年も,イギリス以外にオランダ,インド,韓国などの人が来る。国際関係を学びたい,海外へ活躍の場をという人はもちろん,国際的な視点で奄美のことを語る会なので,地域への貢献を考えている人にも最適なイベントだと思う。多くの諸君の参加を呼びかけたい。同様に,現役の関東・関西の大学生が島キャンとして離島で二週間程度生活する中で,本校生と意見交換する会も8月下旬に予定されている。どちらもまだ参加希望は間に合うそうなので,どしどし参加してほしい。この夏にオープンキャンパスの参加予定の諸君も,多くいた。形はいろいろだが,視野を広げ,抱負を抱けるそんな夏にしてほしいと思う。
    「抱負」を実現するための方法としての「自律」心構えとしての「不屈」についてはどうだったろうか。自立ではなく自律としたのは,本校の伝統を踏まえてである。それは仲間の力であり,それを象徴的に表しているのが校訓である。先日ある文章を読んで,なるほどと感心した。関東のある高校を紹介した文章で,その高校は本校と同じく,より高い次元での文武両道を目指しているとあり,例えば,部活動の工夫のために朝・放課後・昼休みを使っての活動が多く,そのため端境の少ない時間も学習に有効活用しているという。また,複数の部活動が全国レベルで活躍しているため,「○○部はすごい。○○部は頑張っている」と尊敬し合う様子も自然に見られるという。感心した部分というのは,個の力をチームの力に変えるという部分だ。例えば,野球部にすごい投手が一人いても勝てない。しかし,その投手が打撃投手を務め,すごい投手が打てるチームになれば,勝利が近づく。学習においても同じで,多様な個性の集団の中で,より高次の切磋琢磨ができれば全体の力は向上する,といったものだった。誤解しないように言いたいが,チームに合わせるのは,高次の者が下げるということではない。君たちが勝負する全国のレベルを意識して,より向上を目指すということだ。そのためには,不屈の心構えが必要であり,自分の行動様式がきちんと出来る自律が必要ということだ。
    以前も話したが,君たちにもお願いしている自己評価の結果,毎年課題になっている自宅での学習習慣も含めて,しっかり見直してほしいと思う。今学期の成績面で満足している諸君には,満足の質を問いたい。全国を常に意識してほしい。
      実は,一学期は,かなり動的な学期である。文化祭や全校生徒でのクラスマッチ,最後の高校総体など,慌ただしく過ごして来たと思うが,時間のとれる夏だからこそ,立ち止まり振り返ることもしてほしい。

    明後日,年に一回の安陵会総会がある。毎年,数百名単位で名瀬に集まられるが,今学期既に5カ所ほど全国各地で安陵会が開かれ,関東や鹿児島では今春卒業した先輩も10人以上参加してくれた。この熱い同窓会の存在も,本校の特長の一つである。またこの夏も,一人の先輩の援助で海外研修に二年生一人,一年生一人が出かける。4回目になる研修で,ご厚意には感謝しきれない思いがあるが,我々が出来るのは,それぞれが生き様で今後に恩を返していくことだとも思う。
      また,今年度新たにJICAの短期研修に一年生4人が参加する。先程の例ではないが視野を広げる貴重な経験にしてほしい。

    一方で,大高の夏は体育祭を控えているから忙しいという諸君もいると思う。悔い無きよう精一杯取り組んだらいい。ただし,応援団の練習があるから,何もできなかったとだけは言わないように。百足の練習は頑張ったけど,疲れて何もできなかったと言わないように。

    一学期のまとめとして,外にも言うべきことは沢山あった気がするが,いずれにせよ途中経過である。現状肯定に立つか,現状否定に立つかはそれぞれだが,先程から述べているとおり,広い視野で,より自分とって厳しい尺度で,二学期からの成長に繋がる夏の過ごし方を期待したい。

    奄美の夏は暑い。しかし,気温を見る限り,全国ではもっと酷暑の所もある。炎天下で目的に向かって頑張っている高校生も多い。負けるな,大高生。